OpenCore Legacy Patcher 1.2.0が公開 ―macOS 14.1へのアップデート時の起動問題の解決とT1チップのサポート強化など
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OpenCore Legacy Patcherの最新バージョンである「OpenCore Legacy Patcher 1.2.0」が2023年11月7日に公開されました。
OpenCore Legacy Patcher 1.2.0はOpenCore Legacy Patcher 1.1.0の後継に当たるバージョンで、1.1.0の公開後に発見された多数の不具合の修正を含んでいます。
目次
OpenCore Legacy Patcher 1.2.0について
OpenCore Legacy Patcherは最新のmacOSをインストールすることができなくなった古いMacに対し、最新のmacOSをインストールすることを可能にするミコラ氏が主導するプロジェクトです。
多くの機能は現在積極的に開発が行われており、コミュニティ主導のプロジェクトであることから、OpenCore Legacy Patcherを使用するユーザは問題が発生した場合には古いバージョンのmacOSを使用するようと呼び掛けています。
> OpenCore Legacy Patcher 1.2.0 ダウンロード先はこちら
主な変更点
macOS 14.0からmacOS 14.1へのアップデートの問題を解決
OpenCore Legacy Patcher 1.2.0では、「KDKless」方式で発生していたmacOS Sonoma 14.1へのOTAアップデートの際に発生していたmacOSが起動できなくなる問題を解決しました。
macOSの更新に備えて、問題を起こす可能性のあるカーネル拡張のクリーンアップと、更新後のネットワーク接続の必要性を減らすために、OSに必要なKDK (Kernel Debug Kit)を事前に取得する新しいLaunch Daemonsが追加されました。
T1セキュリティチップの取り扱い改善
OpenCore Legacy Patcher 1.1.0から追加された2016年及び2017年のTouchBar搭載MacBook ProモデルでのT1 セキュリティチップのサポートですが、1.2.0ではこれにさらに改善が加わりました。
なお、OpenCore Legacy Patcherのプロジェクトリーダーであるミコラ氏は、TouchBarがmacOS Sonomaで機能しない場合、macOS Venturaを再起動してT1のファームウェアを再インストールする必要を指摘しています。
LLDBのクラッシュ問題解決
抽出されたフレームワークやバイナリでのLLDB (Low Level Debugger)がクラッシュする問題を解決しています。
2017年モデルの4K iMacの4k出力解決
iMac18,2における4K出力の問題が解決されました。
その他の改善点
- macOS 14.2でのT1搭載Macのcoreauthdクラッシュの問題解決。
- T1 MacにおけるNFCファームウェアが見つからない問題の解決。
- macOS Sonomaでの非Metalバイナリの改善、Photosアプリのクラッシュ解決、ログインウィンドウのクラッシュの解決など。
- macOS Sonoma用の非Metalバイナリの更新
- 写真アプリのクラッシュの解決を含む多数の改善
OSサポートにおける注意点
OpenCore Legacy Patcher 1.2.0はmacOS Big SurからmacOS Sonomaまでをサポートしています。
ただし、macOS Sonomaに関する機能やサポートは現在開発が続けられているもので、不具合などを含む可能性について前出のミコラ氏が指摘しています。
その場合には前のバージョンのmacOSを使用するようにと呼び掛けています。
なお、OpenCore Legacy Patcher 1.0.0以降を使用したmacOS Sonomaのガイドは弊サイトで検証したのち「あのかぼ」にて公開いたします。
記事の更新については、かぼしーのTwitterアカウントやHumin.meで紹介しますので、ぜひフォローいただけると幸いです。
macOS Sonomaの専用ガイドを公開するまで、以下の記事をご覧ください。
OpenCore Legacy Patcher 1.2.0の更新内容
【試験中】OpenCore Legacy Patcher 1.2.0のチェンジログを和訳しています。詳細は原文を参照してください。
1.2.0 チェンジログ全文:
- アップデートをインストールせずに却下した場合にアプリケーションが存在しなくなる問題を解決
- 抽出されたバイナリでのlldbのクラッシュを解決
- DSCEで抽出されたバイナリからMH_DYLIB_IN_CACHEフラグを削除
- DFUモードでのT1セキュリティチップの検出をサポートに追加
- T1チップを搭載したMacでのmacOS 14.2 coreauthdのクラッシュを解決
- T1チップを搭載したMacでのNFCファームウェアの欠如を解決
- macOS Sonoma用の非Metalバイナリを更新:
- 写真アプリのクラッシュを解決
- ログインウィンドウのクラッシュを解決
- タイルウィンドウのポップアップがアプリをフリーズさせる問題を、その機能を無効にすることで回避
- モノクロのデスクトップウィジェットのレンダリング問題を、フルカラーを強制することで回避(OCLP設定で無効化可能)
- 新しい引数を追加:
- –cache_os:インストールされるOSに必要なパッチャーファイルをキャッシュ(例:KDK)
- –prepare_for_update:インストールされるOSのためにパッチャーファイルをクリーンアップ(例:/Library/Extensions)
- macOSのアップデートを扱うための新しいLaunch Daemonsを追加:
- macos-update.plist:
- 14.0から14.xにアップデート後に起動に失敗するKDKがないMacの問題を解決
- インストールされるOSのためのKDKキャッシングをサポートに追加
- アップデートがステージングされたときに呼び出される
- /Library/LaunchDaemons/com.dortania.opencore-legacy-patcher.macos-update.plist
- os-caching.plist:
- アップデート後にサポートされていない/古いKDKが使用される問題を解決
- アップデートがダウンロード中に呼び出される
- /Library/LaunchDaemons/com.dortania.opencore-legacy-patcher.os-caching.plist
- macos-update.plist:
- UIアイコンをローカルパスから読み込み
- 低速なマシンでのmacOSダウンローダーのクラッシュを解決
- iMac18,2の内部4Kディスプレイのサポートを解決
- コントロールセンターからニュースウィジェットの削除を取り除き
- 3802ベースのGPUでニュースウィジェットがクラッシュしなくなった
- macOS Sonomaでのi210 NICのサポートを解決
- バイナリのインクリメント:
- PatcherSupportPkg 1.4.5 – リリース
- OpenCorePkg 0.9.6 – リリース
1.2.0 Changelog
GitHub より
- Resolve application not existing if user dismisses an update instead of installing
- Resolve lldb crashes on extracted binaries
- Remove MH_DYLIB_IN_CACHE flag from binaries extracted with DSCE
- Add support for detecting T1 Security Chips in DFU mode
- Resolve macOS 14.2 coreauthd crashes on T1 Macs
- Resolve missing NFC firmware on T1 Macs
- Update non-Metal Binaries for macOS Sonoma:
- Resolve Photos app crash
- Resolve loginwindow crashes
- Workaround tile window popup freezing apps by disabling the feature
- Workaround monochrome desktop widgets rendering issues by enforcing full color (can be disabled in OCLP settings)
- Add new arguments:
--cache_os
: Cache necessary patcher files for OS to be installed (ex. KDKs)--prepare_for_update
: Clean up patcher files for OS to be installed (ex. /Library/Extensions)- Add new Launch Daemons for handling macOS updates:
macos-update.plist
:
- Resolves KDKless Macs failing to boot after updating from 14.0 to 14.x
- Adds support for KDK caching for OS to be installed
- Invoked when update is staged
/Library/LaunchDaemons/com.dortania.opencore-legacy-patcher.macos-update.plist
os-caching.plist
- Resolves unsupported/old KDKs from being used post-update
- Invoked when update is downloading
/Library/LaunchDaemons/com.dortania.opencore-legacy-patcher.os-caching.plist
- Load UI icons from local path
- Resolves macOS downloader crash on slower machines
- Resolve iMac18,2 internal 4K display support
- Remove News Widget removal from Control Centre
- News Widget no longer crashes on 3802-based GPUs
- Resolve i210 NIC support for macOS Sonoma
- Increment Binaries:
- PatcherSupportPkg 1.4.5 – release
- OpenCorePkg 0.9.6 – release
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