サポート対象外の古いMacにもmacOS Sonomaをインストール方法 ―OpenCore Legacy Patcher

サポート対象外の古いMacにもmacOS Sonomaをインストール方法 ―OpenCore Legacy Patcher

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この投稿ではmacOS Sonomaのサポートがされなくなってしまった古いMacにOpenCore Legacy Patcherを使用してインストールする方法を紹介します。

なお、この記事はダイジェスト版ですので、詳しくは「あのかぼ」で紹介している「macOS SonomaをインストールできないMacにOpenCore Legacy Patcherを使用してインストールする」シリーズをぜひご覧ください。

目次

OpenCore Legacy Patcherとは?

OpenCore Legacy Patcher (OCLP)はAppleからサポートを失った古いMacにmacOS Big Sur 以降の最新のmacOSをインストール可能にするプロジェクトです。
OCLPにはAcidantheraのOpenCorePkgとLiluが含まれており、モダンな設計により類似のツールと比較しても安全に利用できることが大きな特徴です。

OpenCore Legacy Patcherが使用できるMac

OpenCore Legacy PatcherがサポートするMacは以下の通りです。

  • MacBook (Early 2008以降)
  • MacBook Air (Late 2008以降)
  • MacBook Pro (Early 2008以降)
  • Mac mini (Early 2009以降)
  • iMac (Mid 2007以降)
  • Mac Pro (Early 2008以降)
  • Xserve (Early 2008以降)

iMac (Mid 2007)についてはIntel SSE4.1をサポートしているCPU、例えば「Core 2 Duo T9300」や「Core 2 Duo T9500」などのIntel Penrynファミリーに換装することでOpenCore Legacy Patcherを使用することが可能です。

OpenCore Legacy Patcherを使用する上での注意点

AppleによるmacOSへの変更により、新しいバージョンがリリースされるごとに注意点が増えていきます。詳しくは「あのかぼ」の「OpenCore Legacy PatcherでSonomaを動かす際によくあるトラブルと解決方法」で紹介しています。

ここではダイジェストに注意点を紹介します。

  • 2010年以前に発表されたMac(Mac Proの場合2012年以前)では、インストールにUSB ハブとマウス、キーボードが必要になる可能性
  • T1チップを搭載したMacではT1チップが動作しなくなる(執筆時点)

用意するもの

OpenCore Legacy Patcherを使用する上で用意するべきものは以下の通りです。

USBメモリは16GB以上の空き容量を持つものを使用してください。
もし、USBメモリを新しく用意される方は16GBのUSBメモリより、32GBのUSBメモリの方がコストパフォーマンスに優れているためお勧めです。

作業開始 ―インストーラ作成

OpenCore Legacy Patcherのダウンロード

まずはGitHubより、最新のOpenCore Legacy Patcherをダウンロードします。

こちらのページ(Releases · dortania/OpenCore-Legacy-Patcher · GitHub)を開き、下にスクロールします。
Assetsにある「OpenCore-Patcher-GUI.app.zip」をクリックし、ダウンロードします。

OpenCore Legacy Patcherは凡そ500MBから700MBあるので、環境によってはダウンロード完了までにやや時間がかかります。

▼ 「Assets」が展開されていない場合には、赤枠で囲った「Assets」とある部分をクリックし、利用可能なファイルをダウンロードします。

▼ ダウンロードが完了するとOpenCore Patcher.app が出現しますので、実行します。

※ ZIPファイルが自動的に展開されない時はダウンロードした「OpenCore-Patcher-GUI.app.zip」を手動で展開してください。

初回の立ち上げの際には「”OpenCore-Patcher”を検証中…」と表示されますので、検証が完了するまで暫く待ちます。

▼ ゲートキーパーより「”OpenCore-Patcher”はインターネットからダウンロードされた…」というアラートが表示されたら「開く」を選択します。

macOS Sonomaのインストーラをダウンロード

続いてmacOS Sonomaのフルインストーラをダウンロードします。

▼ OpenCore Legacy Patcherが立ち上がったら、「Create macOS Installer」を選択します。

この作業をしているMacとインストールするMacが異なる場合

この作業を行っているMacとインストールするMacが異なる場合(例えば、macOS SonomaをMacBook Pro 2011にインストール予定で、この作業はMac mini 2014で行っている、等)にはこちらの記事を参考に、インストール予定のMacをOpenCore Legacy Patcherに指定してください

▼ 今回はmacOS Sonomaのインストーラを新しくダウンロードしたいので「Download macOS Installer」をクリックします。

ダウンロード可能なリストの準備が完了すると、OpenCore Legacy PatcherがサポートしているmacOSのうち、それぞれの最新のバージョンが表示されます。

▼ リストに表示されるバージョンのうち、ダウンロードしたいものをクリックし、「Download」ボタンをクリックします。

「Potential Issues」と表示される場合

macOS SonomaなどのmacOS Ventura以降をダウンロードされる方のうち、2011年以前(Mac Proは2012以前)のモデルをご利用される場合には「Potential Issues」(潜在的な問題)と表示されます。

詳しくは「【暫定版】2012以前の古いMacにOpenCore Legacy Patcherを使用してmacOS Venturaをインストールする方法」をご覧ください。

▼ ダウンロードを行うには「Download Anyways」をクリックします。

▼ ダウンロードが始まりました。

およそ12GB程度のデータをダウンロードすることもあり、環境によってはダウンロード完了までに時間が掛かる場合があります。

まだインストールメディアにしたいUSBメモリを挿入していない場合には、そろそろMacに取り付けておいてもいいかもしれません。

▼ ダウンロードしたデータに誤りがないかの検証作業が始まります。

▼ ダウンロードの終盤にMacのパスワードを求められます。パスワードを入力して「OK」をクリックします。

▼ macOSインストーラの展開が始まり、アプリケーションフォルダにInstallAssistant.pkgがコピーされます。

▼ 「Create macOS Installer?」と表示されたらダウンロード完了です。
このまま作業を続行しますので、「Yes」をクリックします。

ブータブルインストールメディアを作成

▼ 画面が切り替わり、今ダウンロードしたバージョンのボタンが表示されますのでクリックします。(この例だとmacOS Sonoma 14.0)

▼ 今回ブータブルメディアを作成するUSBメモリを選択します。
(USBメモリの中に入っているデータ消えますので、必ずデータはバックアップしておいてください。)

▼ USBメモリ内のデータを消去されることを確認されます。
問題がなければ「Yes」をクリックします。

▼ macOSのインストーラがUSBメモリに書き込まれる直前に、Macのパスワードを求められます。入力して「OK」をクリックします。

▼ ブータブルインストールメディアの作成が開始されました。
この作業にはやや時間が掛かります。

なお、弊サイト「おんかぼ!」や「あのかぼ」ではOpenCore Legacy Patcherに関する最新情報やmacOS Sonoma関連のニュースを紹介していきます。記事の更新については、筆者のTwitterアカウントHumin.meで紹介しますので、ぜひフォローいただけると幸いです。

USBメモリにOCLPをインストール

▼ 「Successfully created the macOS installer!」と表示されたらUSBインストールメディアの作成がしました。このままUSBメモリにOpenCore Legacy Patcherをインストールするので、「Yes」というボタンをクリックします。

▼ 「Finished building your OpenCore configuration!」と表示されたらビルド完了です。「Install to disk」をクリックします。

▼ 画面が切り替わったら、今インストールメディアの作成に使用したUSBメモリをクリックします。
(この例だと、「disk3 – SanDisk 3.2Gen1 – 30.8 GB」です。)

▼ そして、ESP(diskXs1 – EFI)をクリックします。(Xの部分は環境により異なります。)

▼ Macのパスワードを求められます。パスワードを入力し「OK」をクリックします。

▼ 選択した記憶装置にOpenCoreがインストールされていきます。

▼「Reboot to apply?」(または「Success」)と表示されたら作業完了です。
再起動したい方は「Reboot」を、まだ再起動をしない方は「Ignore」をクリックします。

▼ 「Reboot」をクリックすると、Macが再起動します。

macOS Sonomaインストール開始

▼ インストールを行いたいMacの電源を切り、作成したインストールメディアを差し込みます。

MacにUSBメモリを挿入した様子
MacにUSBメモリを挿入した様子

OpenCoreから立ち上げる

▼ 電源ボタンを投入したらoption (Alt)キーを押し続けます。

Appleキーボードの場合の説明用の画像(Optionキーを拡大しています。)

▼ Apple Startup Managerが立ち上がり、選択できるようになったらOpenCore Legacy Patcherのアイコンのついた「EFI Boot」を選択し、Return (Enter)キーを押します。

Startup Managerが立ち上がったらOpenCore Legacy Patcherのアイコン(EFI Boot)を選択する

▼ すると、OpenCoreのブートピッカーが立ち上がります。
ここで「Install macOS Sonoma」を選択します。

OpenCoreのブートピッカー

▼ Appleロゴが表示され、macOS Sonomaのインストーラが立ち上がります。

macOS Sonomaのインストール画面

▼ 言語の選択が出てきたら、インストールに使用する言語を選択します。

▼ 通常はNVRAMに書き込まれた言語が選択されますが、普段使用している言語と異なるものが選択されている場合にはリストの中から探し、選択した後、「→」ボタンをクリックします。

▼ メインメニューが表示されます。

▼ ここまで設定ができたら、メインメニューから「macOS Sonoma インストール」を選択し、「続ける」をクリックします。

▼ 「続ける」をクリックしてインストールを続行します。

▼ ソフトウェアの使用許諾契約書です。

▼ 同意内容について確認されます。

▼ macOSをインストールするボリュームを選択します。
複数のストレージが表示されている時は誤って別のストレージやボリュームを選択しないように気を付けます。

▼ 選択ができたら「続ける」をクリックしましょう。

▼ インストールが始まります。
インストールする機種や環境により、完了までに時間がかかる場合があります。気長に待ちましょう。

再起動後に再びmacOS Sonomaのインストール画面に戻ってしまう場合には、OpenCore Legacy Patcherのブートピッカーでインストールに使用したボリューム名、または「macOS Installer」というラベルのものがあればそれを選択しましょう。

Macの再起動後、ソフトウェアアップデートの準備中にエラーが起きました。と表示された場合

Macが自動的に再起動したあと、ソフトウェアアップデートの準備中にエラーが起きました。」と表示されたら、「Apple メニュー(リンゴのロゴ)」をクリックし、「再起動」を選択します。

▼ 再起動後、OpenCore Legacy Patcherのブートピッカーで「macOS Installer」を選択します。

これでもなお、問題が発生する場合には、今一度インストール作業(このページの初めから)をやり直していただければと思います。

▼ なお、「残り1分未満」と表示されてから長い1分が始まることがあります。

▼ インストール作業が終わると、自動的に再起動されます。

macOSをセットアップする

▼ 無事にインストールが終わると、下記の画面が表示されます。
「国または地域」が正しく選択されている場合には、「続ける」をクリックします。

▼ 「国または地域」が異なる場所に選択されている場合には、手動で設定し、「続ける」をクリックします。

▼ 「文字入力および音声入力の言語」の設定に修正を加える必要がなければ、「続ける」をクリックします。

この時点でMacの構成によっては「あれ動作が遅いな」と気が付くかもしれません。これはグラフィックスアクセラレータに起因する問題であることがほとんどです。その他の問題点や解決方法については後ほど見ていくことにして、今はとにかくセットアップを終わらせます。

▼ アクセシビリティの設定が必要な場合は設定を見直しましょう。必要がない場合には「今はしない」をクリックします。

▼ Wi-Fiでインターネットに接続する場合には、使用するSSIDをクリックします。

▼ そしてWi-Fiのセキュリティキーを入力し、「続ける」をクリックします。

▼ なおNVRAMにWi-Fiの接続情報があり、その情報が使用できる場合には、Wi-Fiの設定を省略できます。しかし、以下のようなメッセージが表示されたら「もう一度接続」から、今一度接続設定を行ってください。

お疲れさまでした。セットアップが完了しました!

▼ OpenCore Legacy Patcher v0.4.4以降では自動的にルートパッチがあたるため、手動でルートパッチを適用する必要はありません。
しかし、ウインドウを開いたり些細なアニメーションでも非常に動作が遅い場合にはグラフィックスアクセラレータに起因する問題が発生している可能性があります。その問題はとりあえず次回修正することにして、まずはmacOS SonomaをインストールしたストレージにOpenCoreをインストールします。

一部のiMacやMac Pro、MacBook Proの注意点

macOS Sonomaをインストールしたい方のうち、GPUにAMD GCN 1~3世代の製品が使われているMacではルートパッチインストール時にKernel Debug Kit (通称KDK)が必要になります。この作業にはインターネット接続が必要です。
もしも、対象のMacにmacOS Sonomaがインストールされた際、インターネット接続ができない場合には別のPCやMacを使用してKDKをダウンロードする必要があります。

方法や詳細は「AMD GCN 1~3世代を搭載したMacでOpenCore Legacy Patcherのルートパッチがインストールできない時の対処法」をご覧ください。

OpenCoreをMacにインストールする

macOS Sonomaのインストール、お疲れさまでした。

続いて、USBメモリがなくともmacOSが起動するようにMacの起動ディスクにOpenCore Legacy Patcherをインストールする方法についてみていきます。

USBメモリ内のOpenCore Legacy Patcherから起動していると、下図のような画面が開かれます。

▼ 「OK」をクリックします。

▼ ビルドが完了すると、「Finished building your OpenCore configuration!」という画面が表示されます。「Install to disk」というボタンをクリックします。

▼ OpenCoreをインストールする内蔵ストレージを選択します。

▼ そして、「diskXs1 – EFI」をクリックします。(Xの部分は環境により異なります。)

▼ 選択されたESPに対しOpenCore がインストールされていきます。

▼ パスワードを求められたら、Macのパスワードを入力し、「OK」をクリックします。

▼ 「Reboot to apply?」と出力されたら作業は完了です。
今すぐ再起動をするには「Reboot」を、まだ作業を続行したい場合には「Ignore」をクリックします。

トラブルが発生した時は

インストール中、またはインストール後にトラブルが発生した場合には以下の「OpenCore Legacy PatcherでSonomaを動かす際によくあるトラブルと解決方法」をご覧ください。

このページではOpenCore Legacy Patcherを使用してmacOS Sonomaをインストールした際によく発生する不具合やその解決方法について紹介しています。

お疲れさまでした!

これで古いMacでも最新のmacOS Sonomaを利用できるようになりました。

OpenCore Legacy PatcherによるmacOS Sonomaサポートの開発当初には「Metalが利用できないMacをサポートできるか分からない」と発表されたり、やや不安でしたが、2008年以降の多くの古いMacでmacOS Sonomaをインストールすることが可能になりました。

ストレージはSSDに換装して頂ければより快適にご利用いただけるかと思います。

最後までご閲覧いただきありがとうございました!

弊ブログ(おんかぼ)と姉妹メディア(あのかぼ)では引き続き、OpenCore Legacy Patcherの最新情報やmacOS Sonoma関連のニュースを紹介していきます。記事の更新については、かぼしーのTwitterアカウントHumin.meで紹介しますので、ぜひフォローいただけると幸いです。